資格取得が必須というわけではない

セラピーと聞くと、専門的な勉強をして資格を取得しなければスキルが習得できないのでは、と感じる人もいるだろう。しかし、決して資格が必要なわけではない。ちょっとした知識と相手を思いやる気持ちがあれば、患者に対して日々セラピースキルを駆使した看護を実践することができるのだ。
患者の中には明るい人や暗い人、病気に対して前向きな人もいれば、諦めを感じている人もいる。このように、患者は自分の置かれている環境に適応したり、否定的になったりしながら過ごしているのだ。看護師は、そんな患者の様子を、病棟で間近に観察することができる。ちょっとした変化が起きると、大丈夫だろうかと感じることもあるだろう。だが、病気を抱えているのは患者であり、患者が受け入れられるまで待つしかないと諦めるべきではない。

患者を目の前にした看護師は、場合によってセラピースキルを使って患者の心情を吐露させたり、気持ちを落ち着かせたりすることができる。あくまで病気を抱えているのは患者自身であり、看護師はセラピースキルを活用して、患者を少しでも落ち着けるようにケアすることができるのだ。
専門的な知識があればなおいいが、自己学習で得たセラピースキルの知識でも問題はないだろう。何よりも大切なことは、患者を思う気持ちだ。そして、患者のペースに合わせた励ましや、いたわりの言葉をかけることも欠かしてはならない。コミュニケーションが、セラピーのきっかけになることも多いのである。